第26回定例研究会の報告
第26回研究会は神戸大学国際文化学研究科の岡田浩樹さんをお招きし、「「多文化共生」言説と在日コリアン」というタイトルでご報告いただいた。今回の研究会の参加者は26人と、非常に活気のある会となった。
まず、岡田さんは「在日」アイデンティティが個々人の差別や社会的排除によってうけたトラウマを重要な基盤としている点を指摘した。しかし、月日がたち世代が入れ替わる中で、その差別経験をもたない3世以降の若い世代がその経験をどう継承し、どのようにアイデンティティを形成するのかという問題や、1990年以降増えていったインドシナ難民、外国人研修生など新来マイノリティが在日の経験を必ずしも共有できない問題も指摘した。そのような中「多文化共生」という言説が在日だけでなくすべてのマイノリティを包摂する言葉としてでてきたが、本当に多文化共生が“すばらしい”言葉なのだろうか、むしろ民族性が薄められ、政治的な問題や歴史が抜けてしまう問題点がある。多文化共生という言説はマジョリティの文化を再編成し強化するものであると話された。現在、研究会などによっては岡田さんが多文化共生に疑問を呈しただけで、非常に強い反発がわきあがることもあり、こりあんコミュニティ研究会への参加者たちは多文化共生をどのように考えるのかという問題提起で岡田さんの発表は終わった。
質疑応答ではあらためてこりあんコミュニティが多文化共生云々ではなく、それぞれの地域に素直にアプローチし、その変容を捉えようとしてきたこと、多文化共生を金科玉条のようにとらえてはおらず、利用できるときに使う程度のものとしてとらえていることなどが参加者や運営委員らから説明された。こりあんコミュニティ研究会が固定的な在日コミュニティをみているのではなく、世代と共に変容し、日本人、および他の民族との交差をみるなかで、日本社会の変容を見つめようとしていることを改めて確認する会となった(文責:石川)。
まず、岡田さんは「在日」アイデンティティが個々人の差別や社会的排除によってうけたトラウマを重要な基盤としている点を指摘した。しかし、月日がたち世代が入れ替わる中で、その差別経験をもたない3世以降の若い世代がその経験をどう継承し、どのようにアイデンティティを形成するのかという問題や、1990年以降増えていったインドシナ難民、外国人研修生など新来マイノリティが在日の経験を必ずしも共有できない問題も指摘した。そのような中「多文化共生」という言説が在日だけでなくすべてのマイノリティを包摂する言葉としてでてきたが、本当に多文化共生が“すばらしい”言葉なのだろうか、むしろ民族性が薄められ、政治的な問題や歴史が抜けてしまう問題点がある。多文化共生という言説はマジョリティの文化を再編成し強化するものであると話された。現在、研究会などによっては岡田さんが多文化共生に疑問を呈しただけで、非常に強い反発がわきあがることもあり、こりあんコミュニティ研究会への参加者たちは多文化共生をどのように考えるのかという問題提起で岡田さんの発表は終わった。
質疑応答ではあらためてこりあんコミュニティが多文化共生云々ではなく、それぞれの地域に素直にアプローチし、その変容を捉えようとしてきたこと、多文化共生を金科玉条のようにとらえてはおらず、利用できるときに使う程度のものとしてとらえていることなどが参加者や運営委員らから説明された。こりあんコミュニティ研究会が固定的な在日コミュニティをみているのではなく、世代と共に変容し、日本人、および他の民族との交差をみるなかで、日本社会の変容を見つめようとしていることを改めて確認する会となった(文責:石川)。
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