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第1回研究大会・スタディツアーの報告(2010年6月26・27日)

 6月26日に開催されたこりあんコミュニティ研究会第1回研究大会および、翌27日に実施されたスタディツアーについてご報告いたします。
 まず大阪市立大学都市研究プラザ学友ホールで行われた第1回研究大会は、あいにくの雨模様だったにもかかわらず、会員、非会員あわせて41名の参加がありました。水内俊雄こりあんコミュニティ研究会共同代表の開会挨拶の後、ここ研会員でもある、高麗博物館館長の樋口雄一氏から基調講演をしていただきました。「在日韓国朝鮮人史と日本社会」というタイトルの講演は、樋口氏のこれまでの膨大な研究実績を踏まえた上で、戦前から戦後連続性の中で、在日韓国・朝鮮人社会がいかなる変容を遂げてきたのかを辿るものでした。また樋口氏は近年行っている川崎市在住の在日一世の女性の聞き取り調査を踏まえ、在日朝鮮人史において、人々の「生活」への注目が必要なこと、そしてその際には「女性」の役割が重要であることが述べられました。

 その後、一般報告へと進み、まずセッション1「文化」では、金美善氏(国立民族学博物館)から「在日コリアン一世女性の識字問題―日本語識字社会に非識字移民女性として生きること―」が、宋実成氏(大阪経済法科大学アジア研究所)からは「1930~40年代の在日朝鮮人商店の屋号について―飲食店・薬局など販売業・サービス業を中心に―」の報告が行われました。まず金報告では、非識字者として在日コリアン1世女性が識字社会日本で生活するうえでの阻害要因を述べた後で、識字能力獲得のための場である夜間学校の重要性が指摘されました。宋報告では、ほとんど研究例のないオールドカマーの言語景観を明示するために、1930、40年代のいくつかの朝鮮語新聞を分析材料に、屋号の表記方法についての分析結果が報告されました。宋氏報告に対してはフロアから、当時の社会状況や場所性との関係を加味して考慮することで、より深みのある研究になることが指摘されました。
 セッション2「コミュニティ」では、まず新井信幸氏(東北工業大学)から「川崎・戸手四丁目河川敷地区の経年的住環境運営」が、そして斎藤正樹氏(ウトロを守る会)から「強制立ち退きから新しいまちづくりへ―京都府宇治市伊勢田町ウトロ地区―」の報告が行われました。新井氏報告では、在日コリアンが多住していた戸手地区における住環境の変容過程を分析する中で、在日コリアンのアイデンティティが具現化されるまちづくりが実現しなかった理由が指摘されました。一方、斎藤報告では、現在まちづくりが進行しつつある宇治市ウトロ地区の歴史と現状が報告されました。両氏の報告を踏まえてフロアでは、コミュニティの持続性や周囲の地域との関係など、今後の在日コリアンコミュニティの方向性と課題をめぐり議論となりました。
 セッション3「福祉」では、安錦珠氏(広島大学・院)から「通所介護施設における在日一世高齢者をめぐる諸問題―広島市西区福島地区の通所介護施設の事例より―」が、そして趙文基氏(桃山学院大学・院)から「在日コリアン高齢者のケアの現状と課題―故郷の家の実践を中心に―」の報告が行われました。安氏は、広島市西区福島地区の通所介護施設を事例に、在日一世女性が利用する際の諸問題(日本人利用者との関係など)や、それに対する施設による多様な対応について報告されました。一方で、趙氏は関西にある在日コリアン高齢者を対象とする介護施設の実践と利用実態について報告し、利用者によるサービス格差などケアを行なう上での課題も指摘しました。両氏の報告に関する議論では、ここ研も関与する西成区在日高齢者調査の関係者から、生活保護受給者や単身高齢者の福祉および介護にまつわる課題が提示され、またフロアの参加者からはエスニックなケアを実践する介護施設職員の負担の大きさについての指摘もありました。

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 研究発表終了後、こりあんコミュニティ研究会総会が開催されました。それぞれ担当の運営委員から2009年度の活動報告、会計報告、監査報告がなされ、規約の改定および2010年度の活動・予算計画も示されました。それぞれの議案が参加者からの承認を受けたことで、総会は無事に閉会いたしました。

 その後、高原記念館で開催された懇親会では、30名以上の参加があり、普段なかなか集まれない会員間の交流もなされました。また大会会場で展示されていた、桜ノ宮龍王宮の実測調査や写真のパネルについて、制作者である黒木宏一氏(大阪市立大学都市研究プラザ)と安田拓也氏(近畿大学・学生)から説明があり、多くの参加者から評価の声があがりました。

 翌日27日のスタディツアーは約15人の参加がありました。午前中は桜ノ宮龍王宮を訪問し、現地にて塚崎昌之氏の案内がなされました。また龍王宮の周辺にある廃品回収業を見て回り、地域住民の方からもお話をうかがう機会があり、龍王宮の歴史に関する新たな事実もわかりました。午後は、JR環状線「今宮」駅から出発し、水内俊雄氏の案内で、浪速・西成区における同和地区のまちづくり実践を見て回りました。特に西成地区のまちづくり実践や住民の生活・居住状況を巡検することで、ここ研が現在調査を進めている、西成在住の在日コリアンの状況の一端を知ることができました。そして、最後に韓国民団西成支部を訪問し、60年以上にわたり西成区にお住みの在日2世の方に、ご自身が卒業された民族系の小学校のことや、西成区在住の在日コリアンの生活・労働状況について、ご自身の古いアルバムを見せてもらいながら、教えていただきました。

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Author:kocoken2009
こりあんコミュニティ研究会は、こりあんコミュニティにおける生活と文化への理解を高めつつ、当該地域コミュニティの再生のあり方について議論しながら、日本国内に限らず共同調査及び研究を行っていくグループです。
問合せ先:kocoken2009@gmail.com

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