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第22回定例研究会の報告

今回は在日コリアン青年連合(KEY)と共催で「生駒山麓に朝鮮人の足跡をたどる―旧生駒トンネル・朝鮮寺・額田の針金―」と題したフィールドワークを行いました。案内はここ研会員の塚崎昌之さんにお願いしました。

【コース】集合:近鉄けいはんな線「新石切駅」。庶民の信仰地「でんぼの神さん」石切劒箭(つるぎや)神社⇒「占い」の街・石切参道⇒朝鮮人も働き、犠牲になった1914年完成の旧生駒トンネル西側入口⇒太宰治『パンドラの匣』の舞台になった日下遊園地・孔舎衙健康道場跡⇒生駒トンネル工事の朝鮮人犠牲者3名の名前も刻まれた稱揚寺「招魂碑」⇒辻子(ずし)谷の復元水車・製薬工場⇒辻子谷にかたまる朝鮮寺(韓寺)⇒「小楠公」首塚⇒戦前からあったと言われる額田谷の朝鮮寺・信貞寺⇒枚岡公園⇒豊浦谷針金伸線工場⇒「官弊大社」枚岡神社⇒近鉄奈良線「枚岡駅」:17時予定(⇒「鶴橋駅」懇親会)

集まったのは、ここ研関係12名、KEY20名の総勢32名の大所帯。目的地は普段は大阪のまちなかから遠くに見ている生駒山系(生駒山の標高は642m)に点在する。個人的には、海の神を拝む「龍王宮」との関連を考えるヒントが得られればという気持ちで、わくわくしていました。

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【写真1】生駒トンネル工事に従事した朝鮮人労働者たちの飯場のあったところを望む。

小雨まじりの中、傘をさしながら、近鉄けいはんな線「新石切駅」を出発し、石切劒箭神社の参道を登っていきました。近鉄奈良線「石切駅」を過ぎて、1914年に完成した旧生駒トンネル西側入口・孔舎衛坂駅跡へ(新生駒トンネル開通の1964年に廃止)。施工は大林組。この工事では1913年の大落盤事故で24名の労働者が犠牲になりました。近くの稱揚寺に建立された「招魂碑」に名前が刻まれています。うち3人が朝鮮人で、權斗定(クォンドゥヂョン)・金在天(キムヂェチョン)・黄沢金(ファンテククム)の名がみえます。異郷の地でどんなに無念だったでしょうか。
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【写真2】旧生駒トンネル西側入口前。左右に旧「孔舎衛坂駅」のプラットフォームが見える。

トンネル開通後も事故がいくつか起こります。1948年3月末には、ブレーキ故障で、生駒トンネルから暴走した列車は花園駅に停車中の電車に激突して、乗員・乗客の50名の命が失われ、重軽傷者が200名以上の大惨事になりました。衝突までの間、運転手はできる限りのことをしようとしましたが、電車を止められず、いよいよダメだというときに、「申し訳ありません。覚悟してください」と泣きながら謝ったといいます。

さあ、この後、谷道をあがり、昼食は近辺の食堂にわかれてはいりました。午後からは雨もやみ、日も差して、ポカポカしてきました。アイヌの民家を模して作った石切神社上之宮を経て、辻子(ずし)谷の朝鮮寺に至る坂道は傾斜が30度程度あります。

ガイドの塚崎さんと、ここ研フィールドワークの常連さんで、塚崎さんを師と仰ぐ、小学5年生のKくんの2人は足取り軽く、どんどん進んで、距離が空きます。KEYのメンバーは若者ばかりでしたが、日頃運動不足の参加者たちはねをあげていました。しかし、高齢の在日1世のみなさんがこの道を行き来されることを考えれば、弱音は吐いていられません。逆に、「龍王宮」がいかに交通至便だったかを実感しました。

途中、「東大阪市地域まちづくり支援助成金」で復元された水車のある「辻子谷水車郷」(上石切町昭楠会)で、谷筋と水と水車(漢方の製薬に利用)の関係を学びました。また、その水が各種宗教施設をはじめ、朝鮮寺での修行のムルマヂ(滝あたり)に利用されてきました。水車を利用した針金づくりも盛んであったということもうかがいました。
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【写真3】辻子谷沿いの真言宗醍醐派「三光滝妙覚寺(ミョガクサ)」の中庭。手前は炉になっている。後ろに小さな滝がある。
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【写真4】額田谷沿いの朝鮮寺「開雲寺(ケウンサ)」の前で、塚崎さんの解説を聞く。門は閉ざされ、人の気配はない。

朝10時過ぎに始まった(実は藤井が大ボケで集合時間に20分も遅刻)今回のフィールドワークも17時に近鉄奈良線「枚岡駅」に到着。綿密に計画された塚崎さんの予定通り。参加者の一人の万歩計は駅に着いたとき、2万2000歩を示していました。
今回のフィールドワークでは在日朝鮮人史と日本近現代史の重要な一部分をこんなに身近な生駒山系に見る思いがしました。今後もいろいろな現場を訪ねながら、学んでいきたいと思います。
フィールドワーク終了後の、鶴橋の居酒屋での懇親会にも多くの人が参加してくださいました。
                          (文責・写真:藤井幸之助)
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Author:kocoken2009
こりあんコミュニティ研究会は、こりあんコミュニティにおける生活と文化への理解を高めつつ、当該地域コミュニティの再生のあり方について議論しながら、日本国内に限らず共同調査及び研究を行っていくグループです。
問合せ先:kocoken2009@gmail.com

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